人間ドックを受けていても発見できない!失明に至る加齢黄斑変性の予防と治療
「毎年、人間ドッグを受けて受けていたのに加齢黄斑変性症で片目を失明してしまった」そんな体験談を読みました。目の病気は進行が遅かったり症状が進む前に見つけるのが難しい病気が多いのです。常に両目でモノを見ていることから目の異常に気がつきにくいことも発見が遅れる原因のひとつです。
突然失明、にはなりたくない!!治療法と予防法を調べてみました。
ふたつの型、「萎縮型」と「滲出型」
加齢黄斑変性は、高齢化に伴って患者数が増えている病気です。 「萎縮型(いしゅくがた)」は欧米人に多くみられ黄斑部の視細胞がゆっくりとダメージを受けていきます。
一方「滲出型(しんしゅつがた)」は日本人に多くみられ突然見えなくなる病気なのです。
治療をどうしよう、などと躊躇している間に深刻な障害を網膜に与えてしまいます。
【前兆を知るためのチェックと検査についてはコチラ】
⦿⦿モノがゆがんで見える中心が暗く見える目の病気は?見るだけでわかる加齢黄斑変性のチェック
加齢黄斑変性症の治療法
滲出型加齢黄斑変性になったら、すぐに治療を始めましょう。
基本的には原因となっている眼底の新生血管を退職させるのが目的です。
注射を打つ ~ 抗血管新生療法(抗VEGF療法)
眼球に注射を打つ、治療が行われています。ちょっと怖いように思いますが、麻酔も使うので痛みはほとんどなく数秒でおわります。これで黄斑の変形を約90%改善するといわれます。
視界のゆがみの他、加齢黄斑変性症で視力低下がおきた場合、視力改善効果も期待できます。ですが時間がたつと根本治療ではないので失明を防ぐためには、経過をみながら継続的に治療を行う必要があります。
薬の点滴と弱いレーザー照射 ~ 光線力学的療法(PDT)
特定の光に反応する薬剤を身体に注射した後に、病変部である新生血管に弱いレーザーを当てる治療です。抗血管新生療法と併用で行われることがほとんどです。
強力なレーザーを照射 ~レーザー光凝固術
新生血管が黄斑部の中心窩(眼底の中心)にない場合に行われる治療法です。
レーザーを照射すると網膜の視細胞は焼かれてしまいますが新生血管が中心窩に及ぶことを防ぐことができます。破壊された部分は光を感知できなくなりますが、中心窩が保たれていれば、見たいものを見ることができます。
加齢黄斑変性の予防
禁煙する
喫煙は最大の危険因子です。どうしてもやめられない人は禁煙外来などを受診して禁煙するようにしましょう。
紫外線を防ぐ
太陽光など、紫外線は目の網膜にダメージを与えます。また、白内障などほかの眼病のリスクにもなります。
日頃から外出時には紫外線を浴びないような対策を施しましょう。
【紫外線対策はコチラで解説しています】
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食事のバランス~緑黄色野菜で予防
何事もバランスのよい食事が健康の基本ですね。
加齢黄斑変性を予防するには目の中の黄斑色素を増やすことです。黄斑色素には青い光を吸収する働きや活性酸素を撃退してくれる働きがあります。
青い光というとパソコンやスマホなど「ブルーライト」です。青い光、ブルーライトをたくさん浴びると細胞を傷つける活性酸素が出てきます。そのため視細胞がダメージを受けます。その結果、新生血管ができる原因となるドルーゼンができやすくなると考えられるのです。
⦿⦿スマホのブルーライトが目に与える影響は?危険性と対策法とは
緑黄色野菜で黄斑色素を増やす
黄斑色素は、緑黄色野菜に含まれているカロテノイドという栄養素です。ですから緑黄色野菜を食べると栄養素が目に届いて予防になります。
黄斑色素の少ない人がカロテノイドを毎日一定量を摂取し続けたら半年で約45%も黄斑色素が増加したという結果もあります。
青い光から目を守る「ルティン」
ルティンはカロテノイドの一種でホウレンソウ、小松菜、チンゲンサイ、ブロッコリーなどに多く含まれ、少量の油と一緒にとることで吸収率を高めることができます。
ビタミンA、C、Eと亜鉛
より予防効果を高めるためにオススメするのが、パブリカ、人参、春菊、カボチャなどのビタミン類です。これらは活性酸素を撃退する抗酸化作用を高めてくれます。ほかにも牡蠣や煮干し、焼きのりに豊富に含まれる亜鉛もあわせてとるとよいでしょう。
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さいごに
日本人に圧倒的に多い滲出型の加齢黄斑変性。
目に注射を打つという治療が開発されて継続することが必要ですが、失明を防ぐことが可能になりました。突然の失明を防ぐためにも日頃から食生活や紫外線、禁煙など予防を心がけていきましょう。 【失明に至る眼病についてはコチラ】
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お読みいただきありがとうございます。
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参考 http://www.gankaikai.or.jp 日本眼科医会 http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20141119/index.html
詳しく知りたい目の病気/NHK出版