視覚障がいを持った人物が登場する外国の映画15選!名作から最新作まで
映画の創成期ともいうべき時代に多くの人を魅了したチャップリンの『街の灯』は、盲目の花売り娘の目を治すために奮闘する物語です。
視覚に障害のある人物が登場する外国の映画を選んでみました。
街の灯 / アメリカ
1931年。チャールズ・チャップリン監督・脚本・主演・製作のコメディ映画。
ある浮浪者が盲目の花売り娘の目を治すためにあれこれと奮闘する物語。ユーモアそして哀しみが織り交ぜられたコメディ映画です。
チャップリンの代表作として高く評価され、今も映画雑誌のランキングにランクインする映画ファンに愛されている作品といえます。
田園交響楽 / フランス
1946年。ジャン・ドラノワ監督。フランスのノーベル文学賞受賞者アンドレ・ジッドの小説を映画化。
身寄りもなく無知で盲目だったジェルトリュードを牧師は純粋な慈悲の心から引き取ったつもりでしたが、やがて牧師と牧師の妻と息子、ジェルトリュードを巡って愛憎劇が展開されます。数年後、彼女は「真実を知りたい」という切な願いを牧師に訴えて視力回復手術を受けたのですが、視力を得た彼女は現実を見てしまいます。ジェルトリュードは「見えなかったのであれば、罪はなかったであろう」というイエスの言葉をかみしめます。
ミシェル・モルガンは第1回カンヌ映画祭で女優賞を獲得しています。
1938年、日本でも原節子主演で映画化されています。
奇跡の人 / アメリカ
1962年。アーサー・ペン監督。ウイリアム・ギブスンによる舞台劇を原作に映画化。ギブスンが脚色を担当。
アカデミー賞に5部門ノミネート、主演女優賞(アン・バンクロフト)助演女優賞(パティ・デューク)を受賞。
視覚・聴覚の重複障害者だったヘレン・アダムス・ケラー伝記的作品。1歳半のときにしょう紅熱により視力、聴力、ことばを失ないます。家庭教師となるサリヴァンも幼いころから弱視であったためヘレンに指文字を教えます。
日本でも1964年以来、何度も舞台化されています。中でも大竹しのぶさんのサリヴァン役は当たり役で多くの女優がヘレン役を演じています。
2016年NHKでテレビドラマとなったのはこちら。
暗くなるまで待って / アメリカ
1967年。フレデリック・ノットの舞台劇(1966年)を、オードリーヘップバーン主演で映画化。
事故で盲目となったスージーは写真家の夫サムと暮らしています。ある日、意図せず事件に巻き込まれます。次々に現れる奇妙な訪問客やアパート内の不穏な空気に。
アイス・キャッスル / アメリカ
1978年。当時フィギュアスケートのアイドルだったリン・ホリー・ジョンソンをヒロインに迎えた映画。
オリンピックを目指しフィギュアスケートに打ち込むヒロインが登り調子の中の気の緩みから事故を起こし強度の弱視に、一度は離れていた地元の幼馴染みに励まされ再起をかけるストーリ。
2009年、女優デビューした現役フィギュアスケーターのテイラー・ファースが主演でリメイクされました。
八月の鯨 / アメリカ
1987年。リンゼイ・アンダーソン監督。撮影当時主演のふたりリリアン・ギッシュは93歳、ベティ・ディビスは79歳。日本では岩波ホールの創立20周年記念作品として異例の長期上映。
サラとリビーの姉妹は60年来、夏ごとにメイン川の小さな島にあるサラの別荘にやってきます。タイトルは8月になると入江に鯨が来るので、少女の頃よく鯨を見に駆けていったことからつけられたもの。 リビーは、第1次世界大戦でサラの若い夫が死んだ時、サラの面倒をみたが、リビーは病のため目が不自由になり、今度はサラが2人の責任をもつことになります。ふたりの淡々とした暮らしが続いていきます。
セント・オブ・ウーマン(夢の香り) / アメリカ
1992年。ゴールデングローブ賞ドラマ作品賞を受賞した映画。
人生に悲観し、ふて腐れた孤独な盲目の退役軍人が、自身もトラブルを抱え人生の選択に迫られている心優しい青年との数日間の交流を通じて自分の人生を見つめ直し、新たな希望を見出すまでを描いたヒューマンドラマ。
盲目の元軍人を演じたアル・パチーノはアカデミー賞主演男優賞を受賞。まったく瞳を動かさない演技とタンゴのダンスシーンが話題に。
スニーカーズ / アメリカ
1992年。フィル・アルデン・ロビンソン監督。ロバート・レッドフォード主演。
コンピュータハッキングおよびソーシャル・セキュリティ・ハッキングを題材にした作品。個性的な共演陣が、暗号解読機をめぐる陰謀に挑むプロ集団を演じています。その中に全盲のホイッスラー(デヴィッド・ストラザーン)がいます。
サイバー犯罪を扱ったクライムサスペンス映画の先駆け的作品です。
ダンサー・イン・ザ・ダーク / デンマーク
2000年。ラース・フォン・トリアー監督、ビヨーク主演の映画。『奇跡の海』『イディオッツ』に次ぐ「黄金の心」3部作の3作目。
主人公のセルマは先天性の病気で徐々に視力が失われつつあり、今年中には失明する運命。息子のジーンもまた、彼女からの遺伝により13歳で手術をしなければいずれ失明してしまうため、手術費を必死に貯めています。そんな時セルマはふとしたことから殺人を犯してしまい…
ビヨークの圧倒的な存在感と不運な主人公でありながら空想シーンを明るいミュージカル仕立てにする構成に注目。
2000年カンヌ映画祭最高賞のパルム・ドールを受賞しています。
デアデビル / アメリカ
2003年。マーベルコミック『デアデビル』を映画化。
幼少の頃盲目となり他の感覚において超人的能力を持つようになった主人公のマットが「正義の行いとは何か」と、葛藤をいだきながら、成長していくストーリー。
昼は盲目の弁護士として、夜は法で裁ききれない悪を一掃しに街へ繰り出します。エレクトラとの出逢いをきっかけに、街の悪の根源キングピンの正体が明らかとなっていきます。
Ray レイ / アメリカ
2004年。この年に亡くなったミュージシャン、レイ・チャールズの伝記映画。
主演のジェイミー・フォックスはアカデミー賞を受賞しました。
ブラインドマッサージ / 中国・フランス
2014年。ロウ・イエ監督。
2014年ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞のほかにも、台湾のアカデミー賞・第51回金馬奨で作品賞を含む6冠、その翌年アジア全域版のアカデミー賞とも言われる第9回アジア・フィルム・アワードで作品賞と撮影賞など数多くの賞を受賞。
視覚障害者の視点を体感するような映像と、人間の本能をえぐるような衝撃的な物語が世界中で絶賛されました。マッサージ院で働くその他のキャストは、すべて実際の視覚障害者が演じています。
映画の中で全盲の女性が「目には種類があるの。光が見える目と、闇が見える目が――」のセリフが残ります。
イマジン / ポーランド
2015年。監督はアンジェイ・ヤキモフスキ。
2012年、ワルシャワ国際映画祭で監督賞・観客賞を受賞、2013年グディニャ国際映画祭・2014年ポーランド映画賞で音響賞。
視覚障害者のための診療所に勤める教師と美しい教え子の淡い恋愛を、研ぎすまされた音響設計と自然光を駆使した魅惑の映像美で奏でています。映画の本質とも言える音と映像 のもつ意味性をラブストーリーとして見事に描いています。
光にふれる / 台湾・香港・中国
2012年。チャン・ロンジー監督。
盲目のピアニスト、ホアン・ユィシアンの実話を基に描く感動作。全盲ながらも類いまれなピアノの才能を持つ青年と、ダンサーを志す女性の出会いを通して、お互いに夢に向かって奮闘する姿をみずみずしいタッチで描き出しています。
僕とカミンスキーの旅 / ベルギー・ドイツ
2015年。ボルフガング・ベッカー監督。
崖っぷちの青年美術評論家と盲目の老画家がヨーロッパをめぐる旅を描いたロードムービー。
60年代ニューヨークで「盲目の画家」として脚光を浴びた伝説的な人物であるカミンスキーの新事実を暴くため、ゼバスティアンはカミンスキーが若き日に愛した女性に引き合わせることを画策。年老いたカミンスキーに振り回される、ゼバスティアンの珍道中がスタートするというストーリーです。
さいごに
盲目の人が登場する外国の映画。
いかがでしたか。気になる映画をぜひ日本の映画ともあわせてご覧ください。
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岩波ホールに見に行った『八月の鯨』が懐かしく感じました。今は亡き映画評論家の淀川長治さんが絶賛した映画でした。劇場と映画のもつ空気がぴったりだったのが思いだされます。
お読みいただきありがとうございます。
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