ips細胞で失った視力が戻るのはいつ?治療法のない網膜色素変性症が治る!?
2017年1月11日、世界ではじめて視覚を失ったマウスがips細胞で作製した視細胞を移植して光に反応できるようになった、という発表がありました。
近い将来、病気で視力を失った人に光が戻る可能性があるということです。
ips細胞と眼科応用
ips細胞は2006年に京都大学の山中伸弥教授が作製に成功した多機能幹細胞です。ips細胞は特定の4種類の遺伝子の働きでどのような臓器にもなる細胞なのです。
2014年、世界初の臨床研究は、眼の網膜の一部である色素上皮細胞を患者に移植する手術で成功しています。ips細胞の研究は 眼への応用が真っ先に行われています。
世界初、iPS細胞で視力回復 理研がマウスで確認 2年以内に臨床申請へhttps://t.co/eJ0J1YRZKG pic.twitter.com/ANsA3UBa64
— 産経ニュースWEST (@SankeiNews_WEST) 2017年1月10日
2019年ころに臨床申請される
今回発表となった視力回復の手順は
- 病気(網膜色素変性症)で視力を失ったマウス~光に反応しない
- マウスのips細胞を作製
- ips細胞から視細胞を含む網膜組織のシートを作製
- マウスに移植
- マウスの神経細胞に移植した組織の一部がつながる~光に反応する
この実験は 21匹のマウスで行われ9匹が 光に反応して行動できるようになりました。
およそ4割が光を取り戻すという結果です。
網膜色素変性症とは
マウスが視力を失ったのは網膜色素変性症という病気です。眼の中で光を感じる組織の網膜に異常がある遺伝性の病気です。人口10万人に対して18.7人の患者がいると推定されます。特徴となる症状は
・視野が狭くなる ・視力が低下する ・暗いところで、見えにくくなる(夜盲)
進行性の病気で、数年から数十年にかけてゆるやかに進行します。症状の出方は人によりますが、夜盲が最初にあらわれる人が多いといわれます。物にぶつかりやすくなったり物が見えたり消えたりといった症状もみられます。網膜は再生能力が低く、失った視力の回復は難しいとされ、根本的な治療法はありません。
今回の実験結果はまさに朗報で実験を行った理化学研究所は臨床申請が2年以内に行われるとしています。網膜色素変性症は医療費助成制度の適応疾患です。ips細胞治療も見越して治療が期待されます。
まとめ
ips細胞の眼への再生医療はもっとも進んでいます。
「自分の細胞で作った網膜で目が見えるようになった」2018年頃に人への応用と成功のニュースが聞けるかもしれませんね。
お読みいただきありがとうございます。
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参考 産経新聞2017/1/11 http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq2.html 京都大学ips細胞研究所 http://www.nichigan.or.jp/ 日本眼科学会